三島進/Leather studio Third(レザースタジオサード)

みしますすむ/Leather studio Third代表取締役。1980年生まれ。幼少の頃より父親の元、レザークラフトを学ぶ。26歳で独立。趣味はバンド活動。

東京からわざわざ来たくなる店にできたら。

━━革職人になったきっかけは?
三島:父親がもともと「クラフト工房カーフ」という革の工房をやっていました。生まれながらに革が近くにあって、中学生になると部活の代わりに父親の仕事を手伝っていました。中学生だから本当は遊びたいんですけど、そう言うと父親は「嫌なら出て行け」と。でも気づけば、父親に仕事を教わりながら楽しんで革に触れていたように思います。

━━そのまま革職人の道に?
三島:高校時代にバンド活動をしていて、音楽やっている人たちって、卒業したら東京を目指す人が多いんです。僕も東京に出て、住み込みで寿司屋で働きました。でも寿司屋の仕事は夜が長くて、働く時間が不規則。このままだと音楽ができないと思って、半年で福山に戻ってきたんです。福山でバイトを探そうと思ってたら、父親に「ちょっと手伝え」と言われて、そのまま8年間働きました。

━━それから独立したんですね。
三島:父親の工房は基本的に卸売専門だったのですが、お客さん向けのモノづくりをしたいと考えて2007年、26歳の時に独立しました。8年続けるとやっぱりモノづくりはおもしろくて、革がもっと好きになったんです。「Leather studio Third(レザースタジオサード)」は、お客さんがカウンターでコーヒーを飲みながら、商品が出来上がるのを眺めて過ごすのがコンセプト。目の前で板前さんが、寿司を握って出してくれるような感覚です。店名は、僕が三男坊だからサードがいいかなと。

━━その後はどんな流れですか?
三島:独立して5年くらい経ったころに、夢ができたんです。それが「レザースタジオサードの観光地化」。普通の店って、売れてきたら東京進出とかを考えるところが多いわけですが逆に、東京からわざわざ来たくなるような店にできたらと考えたのがサードの観光地化。さらにある日、本屋に行ったら福山の旅行本ってないんですよね。鞆の浦はどの旅行本に載ってるかなと探したら、瀬戸内海の本に載ってて。福山は観光地だと思っていた僕からすると衝撃でした。その時から夢は、サードを観光地にするから福山を観光地化する「福山観光地化」に変わりました。

━━「福山レザー」を作ったきっかけは?
三島:福山観光地化のために、何か特産品を作るならやっぱりレザーだなと思って。福山の伝統産業とコラボできないかと調べると、福山に備後絣(びんごがすり)があって、藍染を知ったんです。藍染は、藍の花を粉末にした染料で染める手法。備後絣はかつて、日本の三大絣の一つとしてシェア8割を占め、福山に200社もの絣関係の会社があった。でも、今では2社しかありません。伝統産業がなくなってしまうのはもったいないと思って、革を藍染したのが福山レザー。天然藍で染めているので、天然藍ならではのグラデーションが出るのが特徴です。

━━現在は福山のまちづくりにも参加していますね。
三島:福山レザーがいろんなメディアに取り上げられて、福山や広島の方とも交流が広がったんです。そんな中、福山市の「リノベーションまちづくり」に参加することになりました。リノベーションまちづくりは、遊休不動産を使って、街をどう盛り上げていくかを不動産のオーナーに提案して実現する取り組みです。僕は宮通りにある物件を使って、モノづくりの作家さんに入ってもらえるようなショップを作りたいと提案しました。福山レザーを始めるまでは、福山は住んでる街で、嫌いじゃないというくらいでしたが、歴史を調べ始めると、水野勝成公や鞆の浦、木綿産業とか、すごいと思うところはたくさんある。なのにあまり知られてない。福山レザーや店を通じて、そうしたことも伝えていきたいです。(文=山﨑小由美)

Leather studio Third
2007年創業。工房を併設した店内では、オーダーした革製品が出来上がる様子を眺めることができる。ショップでは、革を見ながらオーダーメイドやリメイクの相談も可能。
住所:福山市多治米町6-3-17
TEL:084-971-7356
営業時間:11:00〜19:30
定休日:盆、正月
http://leatherstudio.jp

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